白内障、アルツハイマー病、パーキンソン病、動脈硬化、皮膚の硬化などの加齢性疾患に共通しているのは、その組織を構成する蛋白質が凝集し、凝集体内部に通常は存在しないD-アミノ酸(主にD-Asp)が存在していることです。これらの知見は蛋白質中のD-アミノ酸形成が蛋白質の異常凝集を引き起こす可能性を示します。
実際に、これらの現象を検証するには、Dアミノ酸を蛋白質中に導入し、凝集性を通常のものと比較する実験が必要です。しかしながら、これまで蛋白質中のアミノ酸をDアミノ酸へと置換する手法はありませんでした。そこで、当研究室では蛋白質中の任意の部位にDアミノ酸残基を導入する手法の開発に取り組んでいます。現在までに、限られた条件下ではあるものの、世界に先駆けたDアミノ酸含有加齢モデル蛋白質試料の作出に成功しています。
様々なD-アミノ酸含有蛋白質を作出し、それら作出したDアミノ酸含有蛋白質が、実際に生体内で、どの様にして蛋白質の異常凝集を引き起こすのか、本研究を通して追跡してゆきたいと考えています。

参考文献
Isomeric replacement of a single aspartic acid Induces a marked change in protein function: The example of ribonuclease A.
Sakaue H, Kinouchi T, Fujii N, Takata T, and Fujii N.
ACS Omega. 2, 260-267, (2017)