研究について /About our research

本研究室は、哺乳動物の細胞小器官であるミトコンドリアを研究対象としています(図参照)

そこではたくさんの蛋白質が働いていますが、ミトコンドリア内膜で働くFoF1ATP合成酵素の構造を精緻に解明したり、核膜にある核膜孔を通って、蛋白質や核酸が通過するメカニズムを明らかにする研究を行なっています。

FoF1ATP合成酵素は哺乳動物が生命活動を行うのに必要なエネルギー源となるATPの90%以上を産出しています。また、本酵素は、細胞死を導く機能を持つことが近年わかってきています。さらに様々な疾病と関与していることから、創薬のための研究対象にもなっています。

核膜孔は1つの核あたり3000個あると考えられています。その孔は、遺伝情報を伝える物質を輸送するための正確な選択性を持ったゲートです。長年多くの研究者がその機能を明らかにしようと高分解能構造解析に挑戦してきましたが、これまでに得られている複合体構造は分解能が低く、まだまだわからないことが多く残っています。

これらの重要な働きをする蛋白質の機能を原子レベルで明らかにするために、X線(将来的には中性子)結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子構造解析を行なっております。

牛心臓の細胞やヒト培養細胞から細胞小器官を分画することが実験の第一ステップです。次に分画した細胞小器官から目的の蛋白質を可溶化し、単離していきます。膜から蛋白質を可溶化する界面活性剤の選択や超遠心分離の溶液条件の調製が重要です。

本研究対象としている膜蛋白質は、分子量が大きく、脂質膜と結合していることから調製困難な蛋白質です。そのことが、高分解能構造解析を難しくしています。

よって高分解能構造解析を成功させるためには、試料の調製が肝であると考えております。機能する完全な蛋白質複合体を安定に、高い純度で、大量に単離することを目指し実験に取り組んでおります。

目標は、FoF1ATP合成酵素と核膜孔複合体が関与する疾病の治療に対する構造基盤を築くことです。